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20年分のAmazon購入履歴695件を数えたら、自分の思い込みが3つ崩れた

Amazonの注文履歴を2006年までさかのぼって、全部で695件を書き出した。20年分である。

やろうと思った理由は単純で、レビューを書くために自分が何を買ったのか一覧が必要だったからだ。ところが並べ終えて眺めていたら、買い物の記録というより自分の生活史を読まされている気分になってきた。年ごとに買っているものの傾向がはっきり違う。

そして数えていくうちに、自分で思っていたことが次々と違っていた。データそのものは記事の最後に置いてある。ここでは、崩れた思い込みを3つ書く。

1. 一番買っていたのはガジェットではなく、本だった

カテゴリ別に集計すると、ガジェットとPC周辺機器が202件で最多。ここは想定どおりだった。ケーブル25本、マウス7個、キーボード7個、電源タップ9個。我ながら同じようなものを買っている。

意外だったのは2位が本の154件だったことだ。ガジェットの記録を残すつもりでいたのに、実際には本を同じくらいの規模で買っていた。Kindleと紙をあわせた数で、雑誌や漫画も入っている。

自分では「ガジェット好き」だと思っていた。少なくとも冊数の上では、読書のほうが生活に食い込んでいた。自己認識と履歴がずれていた、というのがこの作業でいちばん面白かった部分かもしれない。

2. 2014年の51冊は、Kindleを買ったからではなかった

年ごとのグラフで突出しているのが2014年と2015年だ。71件と75件で、20年のなかでこの2年だけ明らかに多い。中身を見ると2014年は71件のうち51件が本。翌2015年も24冊。2013年までは年に数冊のペースだった。

データだけ見れば「Kindleを買ったから読書量が爆発した」と読みたくなる。実際、最初はそう解釈した。

でも順序は逆だった。この時期は就職を控えた学生生活の最後で、社会人になる前に読めるだけ読んでおきたい、という欲求のほうが先にあった。Kindleはそれを叶えるための手段として買ったものだ。

もちろん、端末を手にしてからさらに歯止めがきかなくなった面はある。読める形になれば人は読む。ただ道具が習慣を作ったのではなく、先にあった欲求が道具を呼び寄せたというのが実際のところで、これは履歴の数字だけからは絶対に読み取れない。

そして2016年に16冊、2017年に4冊と落ちていく。学生でなくなれば、そういうものだと思う。

3. 靴磨き用品が2019年で止まったのは、やめたからではない

これが一番、自分の読み方を反省した話だ。

靴と革製品のケア用品──シューキーパー、防水スプレー、ミンクオイル、コロンブスやコロニルのクリーム類──を数えると23件ある。年ごとに並べるとこうなる。

201220132014201520162017201820192020以降
件数14144421ほぼゼロ

2013年から2018年まで毎年買っていて、2019年でぱたりと止まる。

この形を見たとき、真っ先に「革靴を履く生活が終わったんだな」と思った。時期的にもコロナ禍が重なる。きれいな話だ。

だが完全に間違っていた。革靴は今も仕事で履いている。

起きていたのは逆のことで、就職してオフィス勤務になり、革靴が必要な生活になったからこの時期に買い揃えたのだ。そして靴磨きの道具は、ほとんど減らない。シューキーパーは一生ものだし、クリームもブラシも年単位で保つ。一度ひととおり揃えてしまえば、買い足す理由がなくなる。

つまり2019年以降の空白は「やめた」印ではなく、「揃った」印だった。今も同じ道具を使い続けている。

購入履歴を眺めるときの落とし穴がここにある。買わなくなったことは、やめたことを意味しない。消耗品なら購入の途切れは離脱のサインになるが、ストック型のものはむしろ定着したサインになる。同じグラフの形が、商品の性質によって正反対の意味を持つ。

4. 14年間、切れていないブランドが一つだけあった

ブランド別に数えると、Ankerが25件で突出している。ただ数より買っている期間のほうが驚きだった。

最初が2012年のAstro PowerBank 5600。直近が2026年のPower Bank 25000mAh。あいだの2015、2016、2018、2019、2020、2021、2022、2024、2025年にも買っている。14年間、ほぼ途切れずに同じブランドの充電器とケーブルを買い続けている。

その間にiPhoneは何世代も変わり、端子はDockからLightningを経てUSB-Cになった。他社を試さなかったわけではない。それでも結局、充電まわりはAnkerに戻ってきている。

ただし最近はCIOが9件で追い上げていて、ここ2年のケーブルはほぼCIOだ。15年目にして勢力図が動きつつある。

数えてみて分かったこと

購入履歴というのは、家計簿でも物欲の記録でもなく、その時期に自分が何をしていたかの記録だった。

自転車のパーツが並ぶ年があり、本ばかりの年があり、靴のクリームが毎年出てくる時期があり、それが消えてデスク周りとスマートホームに置き換わる。振り返ろうと思って書いた日記より、何も考えずに押した「注文を確定する」のほうが、正確に記録を残していた。

同時に、データだけでは理由が分からないということもはっきりした。今回3つの解釈を立てて、2つは本人である自分ですら間違えた。グラフの形は事実だが、その意味は本人の記憶の中にしかない。

20年もAmazonを使っていれば、誰の履歴でも同じことが起きているはずだ。もし注文履歴を全部書き出せる状況にあるなら、一度数えてみることをおすすめする。自分について知らなかったことが、たぶん2つか3つ出てくる。

データ全部(楽天230件も足しました)

この記事を書いたあと、楽天の購入履歴230件も同じように書き出した。あわせて925件になったので、データページは両方を並べたものにしてある。

先に結論だけ書いておくと、2019年まで楽天はほとんど使っていなかった。それが2020年に突然立ち上がって、以降ずっと高止まりしている。しかも買っているものがAmazonと重ならない。ケーブルや洗剤はAmazon、昇降デスクやマットレスやふるさと納税は楽天、という具合に、金額の桁で店が分かれていた。この話はまた別に書く。

20年分の買い物 925件(データページ)

※一覧からは、プライバシー上の理由で9件を除いている。グラフの件数には含めてある。