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20年分の購入履歴を数えたとき、靴磨きの道具が2013年から2018年に集中していて、それ以降ぱたりと止まっていることに気づいた。
最初は「革靴を履かなくなったんだな」と解釈したのだが、それは間違いだった。革靴は今も履いている。止まったのは、揃ってしまったからだ。
靴磨きの道具はほとんど減らない。一度ひととおり揃えると、買い足す理由がなくなる。これはその「ひととおり」の中身と、4年かけて揃えた順序の記録である。
| 年月 | 買ったもの | 用途 |
|---|---|---|
| 2013年4月 | コロンブス スエードブラシC | スエードの毛を起こす |
| 2013年5月 | イケモト セデュウス ブラッシングブラシ L | 革靴のブラッシング |
| 2014年3月 | マーナ 洋服ブラシ S001 | 衣類の埃取り |
| 2015年9月 | コロンブス アメダス 防水スプレー | 革の防水 |
| 2016年11月 | 3M スコッチガード スエード専用 | スエードの防水 |
| 2017年1月 | コロンブス ブライドルレザークリーム 無色 | 革の保湿 |
| 2017年1月 | ミスターミニット ツインセットブラシ | 汚れ落とし+仕上げ |
7点で終わり。2018年以降、この分野では何も買っていない。そして全部まだ現役である。
揃える順序には理屈があった
並べてみて自分でも気づいたのだが、買った順序は「結果がすぐ見えるもの」から「効果が見えないもの」へという順になっている。
最初がブラシ類だ。ブラシは、かけた瞬間に見た目が変わる。履いているうちに毛が寝てくすんだスエードも、数十秒ブラシをかければ印象が戻る。作業の結果が分かるものは続く。逆に、結果が分からない手入れはそのうちやらなくなる。
防水スプレーとクリームを買ったのは、その2〜4年後だった。これらは効果が目に見えにくい。防水スプレーは効いているときほど何も起きないし、クリームの効果は数年後の革の状態に出る。先にブラシで「手入れをすると変わる」という体験をしていなかったら、たぶん続かなかった。
毎日やるもの:ブラシ
革靴用は大きめを選んだ。Lサイズだと一度に当たる面積が広く、小さいブラシで何度も往復するより早く終わる。手入れは終わるまでの時間が短いほど、次もやろうという気になる。作業時間そのものが、習慣が続くかどうかを決めている。
毛が抜けたり束が広がったりしていない。ブラシは毛が命なので、そこが崩れれば買い替えになるが、10年以上同じ状態で使えている。
スエードには専用のものが要る。革靴用のブラシで擦ってもうまく毛が立たない。素材ごとに道具を変える必要があるというのは、使ってみて分かったことだ。
衣類用のブラシも同じ流れで買った。着たあとに軽くかけておくだけで埃や毛が残らない。洗濯に出すほどでもないが、何もしないと積み重なる。その隙間を埋める道具だ。
これは置き場所で使用頻度が決まる。自分はクローゼットの近くに置いていて、しまうときについでにかけている。奥にしまい込むと存在ごと忘れる。道具は動線上にあるかどうかで使う回数が変わる。
二本セットには意味がある
2017年に買ったミスターミニットのツインセットは、汚れを落とすブラシと、クリームを塗ったあとに仕上げるブラシの二本組だ。
同じブラシを使い回すと、落とした汚れをまた塗り込むことになる。最初から二本あれば、その使い分けが自然に成立する。
道具が揃うと手順が固定される、という効果もあった。決まった手順があると迷わずに始められる。靴磨きが続かない理由の多くは、何をどの順でやるかを毎回考えることにあると思っている。道具を先に揃えるのは、その判断を減らすためでもある。
この記事で一番伝えたいこと:クリームは手のひらで温める
ブライドルレザークリームは何度もリピートしている。ただ、製品そのものより塗り方のほうを書いておきたい。
自分はブラシを使わない。まずクリームを手に取り、手のひらの体温で温めて柔らかくする。柔らかくなったところで、そのまま手のひらで靴に塗り込んでいく。
これをやると仕上がりが違う。硬いまま塗ると均一に伸びずムラになりやすいが、温めるというひと手間だけでそれが解消される。
もう一つ、手で塗ると革の状態が直接伝わってくる。乾いているところ、まだ油分が残っているところが触っていて分かる。ブラシではその情報が拾えない。どこに多く入れるべきかを判断しながら塗れるので、結果的にムラが減る。道具を使わないほうが精度が上がる場面もある。
きちんと塗り込むと、乾いてくすんでいた革が落ち着いた艶を取り戻す。手入れをした甲斐がはっきり出る。
色は無色にした。色付きは革の色と合わなかったときに取り返しがつかない。無色ならどの靴にも使えるので、これ一つで済む。
正直に書いておく:防水スプレーは場所を選ぶ
コロンブスのアメダスは効果に満足しているが、噴霧の量が多い。霧が細かくてしっかりかかるのは良いのだが、そのぶん周囲にも飛ぶ。
室内で気軽に使うものではない。特に小さい子どもがいる家では、吸い込ませないように場所と時間を選ぶ必要がある。ここは買う前に知っておいたほうがいい。
慣れてからは、離れた位置から複数回に分けてかけるようにしている。近くから一度に大量にかけるより、遠くから薄く重ねたほうが均一になる。かけたあとは表面を軽く拭いて、しっかり乾かす。
正直に言えば、やるのに気合いが要る作業だ。場所を用意して乾かす時間も見ておく必要があるので、毎週というわけにはいかず、たまにまとめてやることになる。
それでも使うのは効果があるからだ。雨の日に履いたあとで革がどうなるかは、後から取り返せない。手間はかかるが、やっておくかどうかで靴の寿命が変わる。
スエードには専用のものを別に持っている。革でもスエードでも使える万能タイプもあるが、素材ごとに分けている。理由は簡単で、どれに使っていいのかを毎回考えたくないからだ。専用と書いてあるものを専用の用途に使う。それだけで判断が一つ消える。
スエードは一度シミになると戻せない。汚れてから対処するより、先にかけておくほうが結果的に手間が少ない。
10年買っていない理由
この7点を揃えたのが2017年で、それ以降この分野では何も買っていない。理由は単純で、減らないからだ。
ブラシは毛が抜けなければ一生使える。クリームは減るがリピートしているし、そもそも消費が遅い。防水スプレーも同じ。買い替えのサイクルが年単位を超えると、購入履歴には現れなくなる。
だから購入履歴を見て「2019年以降ゼロ」だからといって、やめたことにはならない。むしろ逆で、買わなくなったのは定着した証拠だった。自分の履歴を自分で読み違えたので、これは書いておく価値があると思っている。
まとめ:最初に買うなら
これから靴の手入れを始めるなら、順序としてはこうだと思う。
1. まずブラシ。結果がすぐ見えるので、手入れが習慣になる。ここを飛ばすと続かない。
2. 次に汚れ落とし用と仕上げ用の二本。手順が固定されて、迷わず始められるようになる。
3. クリームと防水スプレーは後でいい。効果が見えにくいので、手入れの習慣ができてからのほうが続く。
全部で7点、4年かけて揃えた。急ぐ必要はない。どうせ一度揃えれば10年買わなくて済む。
20年925件分の購入履歴はデータページにある。